間取りの考察 ~プライバシー性のグラデーション~
こんにちは。じょりぱです。
今回は間取りについて、オリジナルな考察をしてみたいと思います。
私も妻も”実家”は田舎でそれなりに大きく、我々が新しく建てる家は今までの人生で一番小さい家となりました。
なので、家を建てるに際し、二人の中で、実家のような、いや実家を凌駕する
「ゆったりとしてリラックスできる家」
が良いという気持ちがありました。
しかし間取りを学べば学ぶほど、「小さくてコンパクトな家」的発想が多く、どうもその解を見つけることはできませんでした。
「ゆったりとしてリラックスできる家」とは何か。
夫婦で悩みに悩みながら、見つけた考え方について、今回はご紹介いたします。
まずは、結論から。
それは、
「プライバシー性のグラデーションを考え、一本の動線で結ぶ」
ということです。
多くの本には、玄関、洗面、パントリー、キッチン、リビングを繋ぐ回遊動線による効率化などが書いてあるのですが、
「ゆったりとしてリラックスできる家」について言及している本は意外と多くありませんでした。
そこで、「ゆったりとしてリラックスできる家」にするには、どういったことが必要か、もう少し分解してみました。
すると、
・毎日家を端から端までくまなく楽しめる
・移動に合わせ景色/空間の変化を楽しめる
・寝室にむけて奥に入っていく感覚がある
ということが挙げられました。
これらを実現するために、私達は各部屋のプライバシー性に着目し、それらに強弱をつけたのち一本の線でつなぐこととしました。
これが完成した我が家の間取りです。
プライバシー性を考慮し、まずは玄関、リビングあたりの外に近いところをもってきました。
続いて家族、或いは親友・親戚とご飯を食べるダイニング、更に料理を作る(=あまり人に見せるものではない)キッチン、トイレ、水回り、、、と並べ、最後に二階に誘導したあと書斎と寝室類という最もプライバシー性が高いものを並べたのです。
これらを階段まで含めびしっと一本の動線でまとめできあがり。
「プライバシー性のグラデーション」という言い方が一番しっくりくるコンセプトでしょうか。
感覚的に言えば、寝室に向けて家の深部に入っていく感じ。
ダンジョンで一番下の階にラスボス(主寝室)がいる感じとも言えます。
また、寝室に向かうことが単なる”回り道”と感じることがないよう、景色の移り変わりにも注意しました。
玄関から入って、塗り壁が見え、一瞬庭の調子を見て、Moonの照明を見て、キッチンのタイルを見ながら暗い廊下に吸い込まれていき、ハイサイドが光る2Fに向かって階段を上り、暗い廊下の先の広い主寝室に入る。。。といったストーリー展開です。
その雰囲気を演出するための一つとしてしっかりと廊下も導入しました。
”廊下”についての考え方はこちらをご参照ください。
このプライバシー性のグラデーションを形にした動線により、毎日生活リズムに合わせて端から端までしっかりと使うことができ、更に時間と共に段々深部に入っていくという”安心感”を形にすることができた訳です。(実際寝室にアクセスするには順番に動線をたどるしかなく、泥棒さえ入りにくい間取りとなります。)
ちなみに、、、
この動線でも煩わしさが生まれないよう、「家事」に対してはしっかりと効率化を求めました。
その代表的なものとして洗濯の動線。
まだの方は是非この記事を読んでいただけたらと思います。
しかしこれは家事動線を効率化するあくまでも並列的なサブルート。
決して寝室への近道(=ワープ)ではないというのがキーです。
さて、話はちょっと変わりますが、
このような思考に至ったのは実家での経験が大いに影響しております。
以下に実家の間取りを描いてみます。
先ほどの動線と比較すると、とても対照的ですね。
このように玄関前に交差点があり、各エリアが独立しているのです。
この動線では、手を洗う、ごはんを食べる、自分の部屋に入る、、、これらのエリアを行き来する際、必ず玄関前にリセットされます。
実際に住んでいた感覚としては、常に玄関(=外)が近く、どこにいても浅い感じがしていて安心感はありませんでした。
特に学生のときなんて玄関と洗面とダイニングと子供部屋のみを行き来する毎日。今見ると家の半分程度しか使っていなかったことがわかります。
また、玄関前に交差点が生まれることで局所的に人が重なってしまうという問題もありました。家の半分しか使えていないため、必然的に家族がばったり鉢合わせになる機会が増えていたんですね。
この経験を活かして今回ご紹介したような、あたらしい形の動線を導きだすことができました。
もし皆さんが、
「ゆったりとしてリラックスできる家」
を作ろうとされている場合は、是非一度効率化を追求するのみではなく、
「プライバシー性のグラデーション」
について考えていただければと思います。
以上、今回の考察いかがでしょうか。
一つの考え方として、面白いと思っていただけたら幸いです。
それではまた。